栄養の基礎
栄養素とは?
ヒトの場合
食事などから摂取する食べ物に含まれている
生命活動に必要な成分の事☝
※水は栄養素には含まれていないが、
体内で行われる【物質輸送・化学変化】において、とても重要なモノです!

5大栄養素
①炭水化物(糖質、食物繊維※1)
②タンパク質
③脂質
④ビタミン
⑤ミネラル(無機質)
※1 食物繊維は炭水化物に含まれるが、エネルギー源にはならず、整腸作用などの役割から、第6の栄養素と呼ばれています。
~ それぞれの役割~
熱量素
~主としてエネルギー源になるもの~
①炭水化物(糖質)
②タンパク質
③脂質
構成素
~主として筋肉・内臓・骨格など、体の構成成分となるもの~
②タンパク質
③脂質
⑤ミネラル(無機質)
調整素
~主として生体内の化学反応を調整するもの~
②タンパク質
④ビタミン
⑤ミネラル(無機質)
①炭水化物(糖質、食物繊維)
糖質の種類
・単糖類
(グルコース、フルクトース、ガラクトースetc.)
・二糖類
(マルトース、スクロース、ラクトースetc.)
・多糖類
(デンプン、グリコーゲンetc)
これらは、糖質の大きさで分類されており単糖類が最も小さい。
~機能的役割~
糖質は、身体活動におけるエネルギー源として最も使用されエネルギー供給速度も最速である。
1gあたり4kcalとなる。
体内に入った糖質は、口から始まる消化管により分解され血液によって全身に運ばれる。
エネルギーとして消費されずに、余った余剰分はグリコーゲンとして、
【 肝臓・筋肉・脂肪組織(中性脂肪に変換)】に貯蔵される。
血液中のグルコースを血糖、その濃度を血糖値という。
※ 血糖値 (健常者の場合)
空腹時は、100mg/dl以下で安定
食後は、100~140mg/dlまで上昇する
(食後は一過性に上昇し2時間ほどで戻る)
〇食物繊維について
構成上、多糖類の仲間であるが、
消化・吸収されない為エネルギー源にはならず、
消化管を通過することでその機能を発揮する。
不溶性と水溶性の2種類あり、
・腸管の蠕動運動を促進
・整腸作用
・食事の際の血糖値上昇を抑制
・血清コレステロールの是正
など、様々な働きがある。

②タンパク質
タンパク質は、
多数のアミノ酸がペプチド結合して構成される
高分子化合物をタンパク質呼びます。
一般に、
アミノ酸が50個以上結合したものをタンパク質。
それ以下を、ペプチドと呼ばれます。
・アミノ酸の分類
アミノ酸 2個以上 = ペプチド
約10個 = オリゴペプチド
それ以上 = ポリペプチド
(約50個~ = タンパク質)
※ 必須アミノ酸について
・体内で合成されない
・合成されても必要量に達しない
これらの事から、
食物から取り込む必要があります
種類 | 生理作用 | 食品 |
---|---|---|
イソロイシン | ・神経機能の補助 ・血管拡張 ・肝機能改善 ・筋肉強化 ・成長促進 |
鶏肉、鮭、牛乳、チーズ |
ロイシン | ・肝機能改善 ・筋肉強化 |
牛肉、レバー、ハム、牛乳、チーズ |
リジン(リシン) | ・ブドウ糖代謝促進 ・カルシウム吸収促進 ・細胞修復 ・肝機能改善 |
魚介類、肉類、レバー、卵、牛乳、大豆製品 |
メチオニン | ・ヒスタミン(かゆみ)血中濃度下降作用 ・抑うつ症状緩和 |
牛乳、牛肉、羊肉、レバー、魚介類、卵 |
フェニルアラニン | ・鎮痛作用 ・抗うつ作用 |
肉類、魚介類、卵、大豆製品、チーズ、種実類 |
スレオニン(トレオニン) | ・脂肪肝予防 ・成長促進 |
卵、スキムミルク、ゼラチン |
トリプトファン | ・精神安定 ・鎮痛作用 ・抑うつ症状緩和 |
牛乳、チーズ、大豆製品、種実類、レバー、卵 |
バリン | ・血中窒素バランス調整 ・肝機能改善 ・筋肉強化 |
レバー、チーズ、海藻類 |
ヒスチジン | ・神経機能の補助 ・成長促進 |
かつお、鶏肉、ぶり、さんま |
~機能的役割~
・エネルギーとして利用された場合
1gあたり4kcalとなる。
・ホルモンの生成材料
(ペプチド性)
・酵素の生成
・物質運搬タンパク質の生成
(ヘモグロビン等)
・生体防御物質の生成
(免疫グロブリン・フィブリノーゲン等)
・神経インパルスの伝達
~構造的役割~
タンパク質は、
主に体の構成要素として利用され、
・筋肉
・内臓
・腱、靭帯
・骨
・皮膚、爪
・毛
など、人体のあらゆる箇所で利用されています。

③脂質
脂質の種類
脂質は、
・単純脂質
(中性脂肪)
・複合脂質
(リン脂質・糖脂質・リポプロテイン)
・誘導脂質
(ステロイド・脂溶性ビタミン類・脂肪酸)
の3種に分類される。
~機能的役割~
・エネルギーとして利用された場合
1gあたり9kcalとなる。
・生体膜の構成成分として広く分布。
(リン脂質・糖脂質・ステロール)
・肝臓で生成される、胆汁の材料となる。
・ホルモンの生成材料となる。
(ステロイド、性ホルモン)
・腸管内で脂溶性ビタミンなどの吸収を助ける。
~構造的役割~
中性脂肪は、
・皮下脂肪
・腹腔
・筋肉間結合組織
などに蓄積される。

④ビタミン
ビタミン(VITAMIN)の、【VITA】は
ラテン語で【生命】や【活力】という意味があり
生命生活を維持する為に不可欠な有機物です。
体内で作られるコトはほとんどなく、また作られても必要量に満たない為、必ず食物など外から摂取しなくてはならない栄養素と言えます。
分類と主な働き
ビタミンは現在13種類が認められており、
脂に溶けやすい 【脂溶性ビタミン】
水に溶けやすい 【水溶性ビタミン】
の、2つに分けるコトができます。
~脂溶性ビタミン~
名称 | 機能 |
---|---|
ビタミンA | 目に作用し、視覚を維持する |
ビタミンD | 骨の形成に必要、不足すると骨が弱くなる |
ビタミンE | 抗酸化作用があり老化を予防する |
ビタミンK | 血液凝固作用に必要、骨の形成にも関与する |
~脂溶性ビタミン~
名称 | 機能 |
---|---|
ビタミンB1 | 糖質の代謝、神経機能維持に必要 |
ビタミンB2 | 糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要 |
ビタミンB6 | アミノ酸の代謝に必要 |
ビタミンB12 | 血液の形成、神経細胞の機能維持に必要 |
ビタミンC | 鉄分の吸収、コラーゲンの生成に必要 |
葉酸 | 血液形成に必要、妊婦・授乳婦への摂取推奨 |
ナイアシン | エネルギー代謝において重要 |
ビオチン | 糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要 |
パントテン酸 | 糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要 |
欠乏症と過剰症
ビタミンは摂取量が
【欠乏】 または 【過剰】になる事で
様々な不調を引き起こすコトがあります。
【欠乏】摂取量が足りない → 欠乏症
【過剰】摂取量が多い → 過剰症
※水溶性のビタミンは
過剰に摂取しても尿等で体外に排出されやすく、
過剰症の危険性は少ない。
⑤ミネラル(無機質)
ミネラル(無機質)とは?
ヒトの身体を構成する元素の内
酸素(O)・水素(H)・窒素(N)・炭素(C)
を除く、元素の総称のコト☝
ヒトの身体の構成要素として、約4%を占め
身体に必要なミネラルは16種類あります。
構成要素としては、少量ですが
健康を保つ為には必要不可欠と言えます。
~ 分類 ~
ヒトの身体に必要なミネラル16種類は
1日の摂取目安量により分類できる。
〇 多量ミネラル(7種類)
~ 1日の摂取目安量100㎎以上 ~
カルシウム(Ca)リン(P)カリウム(K)硫黄(S)ナトリウム(N)塩素(Cl)マグネシウム(Mg)
〇微量ミネラル(9種類)
~ 1日の摂取目安量100㎎以下 ~
鉄(Fe)マンガン(Mn)銅(Cu)ヨウ素(I)セレン(Se)亜鉛(Zn)クロム(Cr)モリブデン(Mo)コバルト(Co)
~機能~
カルシウム(Ca) | 最も多量に存在するミネラル。 99%が骨・歯、約1%が細胞内、約0.1%が血中にある。 神経の伝達、筋肉の収縮、血液凝固、細胞間の情報伝達、酵素の活性化、体液pHの調整などに働く。 過剰症 腎臓結石、軟骨組織石灰化など 欠乏症 くる病(幼児)、骨粗鬆症(成人)、低カルシウム血症 |
リン(P) | カルシウム(Ca)の次に多く、生体内のすべての組織・細胞に存在する。 骨や細胞、ATPなどの構成成分で構造面&機能面に関与している。 不足することは珍しく、過剰摂取が問題と言われている。 |
マグネシウム(Mg) | 生体内に約25g存在。 酵素の活性化、体温調節、神経興奮、筋収縮、脂質代謝などに働く。 神経・筋への作用として、カルシウム(Ca)と拮抗している。 欠乏症 神経疾患、運動失調、精神疾患など (通常の食生活では欠乏しにくい) |
カリウム(K) | 細胞内に最も多い陽イオン (細胞内98%、細胞外2%) 細胞内の浸透圧、pH調整などに働く |
ナトリウム(Na) | 細胞外(体液)で最も多い陽イオン (細胞外液50%、骨40%、細胞内10%) 体内の浸透圧(細胞間液量)、pHの調整、膜電位の維持などに働く。 過剰症 浮腫、高血圧など 欠乏症 食欲不振、筋肉痛など |
塩素(Cl) | 細胞外(体液)の陰イオンの60% ナトリウム(Na)や重炭酸イオン(HCO3-)と共に、体内の浸透圧(細胞間液量)、pHの調整などに働く。 また、胃酸(HCl)の構成する材料となる。 |
鉄(Fe) | 成人の体内に約2g存在する。 酸素運搬作用(血中でヘモグロビンと結合、筋中ではミオグロビンと結合) 細胞内の酸化反応などに働く 過剰症 色素沈着 欠乏症 鉄欠乏性貧血 |
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